私は普段、陽の目が当たらないけれど面白いボカロ曲などについて
Twitterなどで語っているのですが、
有名なボカロ曲で好きな曲について語る機会が今までなかったので、
私が心を打たれたものを貼っていきたいと思います。




骸骨楽団とリリア/トーマ(2011)

あまりに後続への影響が大きいが故に、
いま聴いても当時の衝撃が伝わらない方もいるかもしれません。
2011年6月はボカロの大消費時代が始まる前夜のような時期で、
まだ流行の曲調が一定の方向に固まりきらず、
それぞれのボカロPが如何にすればクリエイティブなのか
教科書のない状態で模索しながらミラクルを生んでいってました。

その中で落とされた、イントロからアウトロまで全てがフックのようなこの曲は
曲、一枚絵、タイトルすべてが一体となって
他の何者でもない形で私を殴ってきました。
徹頭徹尾攻めの姿勢でありながら、技術のひけらかしのような物は感じず、
どの音も必然的に選ばれたかのような纏まりを得ていて
リズムやメロディーに自分の心が移入してしまうかのように夢中になりました。
いつ聴いてもこの曲の感触は何ら擦り減らされません。




こちら、幸福安心委員会です。/うたたP(2012)

ボカロのシーンがじんさんとkemuさんの空気に飲まれる中で、
新しいフォーマットのボカロ作品を聴きたいと思っていた所に投下された曲です。
初期から続くボカロのキャラクターソングの醍醐味と、
それとは全く違う、社会の隙間から生まれる憎悪の様なおぞましい気持ちが一緒になって
キャッチーなダンスミュージックに落とし込まれている、
感じたことのない気持ちに到達させる「新体験感」がありました。

ここからうたたPはこのタイプの曲を量産するので、
初めて聴いた時のあの感覚は当時特有のものでしたが、
その時の記憶は今でもはっきりと刻まれています。




普通に歳をとるコトすら/椎名もた(2013)

私の誕生日に投稿された「普通に歳をとるコトすら」。
1歳を刻むことの不安や痛み、ストレスは
未来が未定の道を歩んだり、時間の有限さを意識させられる生き方をしている人間には
深く刺さってきたと同時に、
それを最も感じるであろう椎名もたさんのことを思って
心配になった一作でした。

「これ僕の誕生日に投稿されたんですよ。
 色々考えてこの歌詞を書くもたさんの気持ちが伝わってきて」
ということをいつか伝えたかったんですが、伝えられませんでした。




すきなことだけでいいです/ピノキオピー(2016)

毎回辛辣なメッセージをキャッチーな曲に乗せて伝えてくるピノキオピーさん。
この曲はキャリアの中の一つの結実点だと思っています。
「好きなことだけしたいけれど、みんなが好きなことだけしたら社会が崩壊する」
みんな心の底では分かっているけれど、多くの人が考えたがらないことを、
最初は身近でユーモラスでとっつきやすく、
最後には重い芯をこれでもかというくらいアンセム的に放出する、
プロパガンダの集大成のような一作ではないでしょうか?
伝えたいことと伝えるための順序が最も綺麗に感じる曲だと思いました。




うみなおし/MARETU(2017)

1小節への歌詞の複雑な詰め方によってJ-POPの新境地を開いていると思っているMARETUさん。
そのテクニカルな中で、他の曲とは少し異なる種類の憎悪を感じて鳥肌が立った1曲です。
「完全に生まれ損なった貴方にはどうもがいても
 見るも無残な生き先しか選べないから」
という歌詞を、非常に口ずさみやすいキャッチーなサビに乗せた、
どうしようもなく共感できる悪意に心が熱くなりました。




天使だと思っていたのに/鬱P(2018)

私は「周りと同じことができない」という苦痛を浴びて生きてきたので、
その感情を最も分かりやすい形でポップスに落とし込んだこの曲は私のマスターピースです。




贖罪/傘村トータ(2018)

初めて聴いた時、今までにあった自分の弱さを振り返らされるような、
まさに贖罪の気持ちで、
当時の様々な出来事のことも相まって人目を憚らず泣いてしまった曲です。
この2年でこの方の取り巻く環境も変わり、
私がうるさくオススメツイートする機会も減ってしまいましたが、
常に強いメッセージ性(おそらく自分自身への)と向き合うこの方を私はずっと応援しています。





書いてみて思いました。
有名なものに限っても全然キリがないじゃん!
他にも沢山あるので、要望があればまた機会を見て書いていきたいです。